山下裕美子の作品を初めて見た時の印象を今もはっきり覚えている。陶芸家の力作が並ぶ合同展の中で、山下の作品から私は土の素材感を超えた空気のカタチを感じた。長方形の台上に並べられた山下の作品は、白い陽炎のように浮遊しそこだけ淡い光に包まれていた。これが磁器? あまりに薄く儚げで本体が抜け出た殻のような。
山下がつくるオブジェは、繊細さと野心的創造力がミックスした独自の世界をつくりだしている。
そこにあるけれど、既にないかのような、くうきの焼き物。
山下は「くうきの輪郭」と名付けられた展覧会で、見えている物を超えた存在を見ようとしている。
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