■私は対象を写生する時、彼らと言葉にならない対話をしている。静かな行為の中の情熱的
とも言えるやりとりだ。彼らはいつも何かを伝えようとしてくれる。そんな彼らの言葉を
可視化するように絵を描いてきた。
DMというテーマをいただいた時に、はじめは誰か宛へのメッセージを考えたが、以上の
ことに気づき彼らからのダイレクトメッセージという方向に切り替えた。そこで、今回は
『紫水晶の伝えたいこと多方面から可視化すること』を試みたい。
自身にとって新しいcrystalシリーズは、水晶の写生を元に、何段階もの工程を経て制作する。
工程ごとに異なった新しい視点や新しく新鮮な出会いを獲得しようと、自身の「見出す力」
を探求した作品だ。多角的な視点を持つことで先入観や既成概念に捉われない新しいステー
ジへ進めるのではないかと考えているのだ。本展覧会ではさらに踏み込んで、さらに違った
角度からもアプローチして紫水晶からのメッセージをビジュアルで翻訳したい。
紫水晶の言葉にならない声はあなたに届くだろうか。
■1980年 愛知県生まれ。
2007年 金沢美術工芸大学大学院 美術工芸研究科絵画専攻日本画コース修了。
「価値・視点・認識」「自立・関係」「描くこと」をキーワードに考察し、主に日本画材を
用いた平面作品を制作している。
最近の展覧会に 2015.11『Kyoto Current 2015』(京都市美術館別館,京都)、
2015.10『寺脇扶美個展』(Gallrey TEN,金沢)、2015.7『漂流飛翔』(白白庵,東京)。
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