岩田 萌IWATA Moe
作家コメント
砂遊び用の小さな型で作った、10cmにも満たない砂の城が崩れていく様子を撮影し、その一コマ一コマをOHPフィルムにプリントしています。
それらのフィルムをスライドフィルムのマウントに収め、層のように重ねることで、ストップモーションアニメのフレームを物質として保存した状態をつくりました。
前後の順番を入れ替えると、砂の城が崩れていく過程がふたたび形を成していくようにも見えます。
崩れゆく砂の城は、私たちの日常の脆さを象徴します。
しかしその「崩壊」を逆向きに読み替えれば、「安全な1日」が始まる瞬間としても受け取ることができます。形が生まれ、壊れ、また形へと戻っていく——
その循環は、始まりと終わりがつながりあう私たちの時間感覚を静かに示唆しています。
*作品が収められた箱の裏にはQRコードが貼られており、OHPフィルムを再撮影して作ったストップモーションアニメの動画につながります。砂の城が崩れ、逆再生で再び形を成す過程を、映像として鑑賞することができます。
自己紹介
映像や素材の重なりから時間や記憶の断片を見つめる作品を制作しています。
京都精華大学映像コース修了。


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