■Men in Blackという映画のラストシーンをご覧になったことがあるでしょうか。その
シーンでは、主人公のウィルスミスが乗った車からカメラがどんどん空中に引いていき、
空を越え、宇宙空間に飛び出し、太陽系を越え、銀河をも越えていきます。そして宇宙
の端まで辿り着いたと思ったら、なんと宇宙は大きなビー玉のようなものの中身で、何
者かがそのビー玉でポートボールのような遊びに興じているという、なんとも壮大なシ
ーンです。小学生のときに見て以来、私は度々この場面を思い出します。
今回の出品作「Blue point」は、画面に一粒だけ青い顔料がついています。それは注視
しないと分からないような小さなものですが、例えばこの画面が現在分かっている宇宙
の大きさだと仮定すると、地球はこの一粒にすら満たないものです。
私という一人の人間からすると、地球というのは果てしなく大きいものです。しかし一
方では、一粒の顔料と同じような小さな存在でもあるのかもしれません。そして逆にい
えば、人間からすると一粒の砂のような小さな存在のモノが、見方を変えれば果てしな
く大きな存在であるともいえるのではないでしょうか。
大きな地球と小さな一粒を元に、映画も思い出しつつそんなことを考えていました。
最後に補足ですが、今回使用している顔料は、岩絵具の群青として扱われているもので、
天然の鉱石を砕いて作られています。今回地球の比喩として使用していますが、この一
粒は、実際に地球の欠片でもあるのです。
■1988年京都府出身 2010年成安造形大学日本画クラス卒業、2013年京都造形芸術
大学大学院修士課程 修了。'14年TERRADA ART AWARD優秀賞、'13年美術新人賞
デビュー準グランプリ、京都府美術工芸新鋭展公募部門大賞、他
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