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Dozen Messages - ocean

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井上明彦 INOUE Akihiko

 
 Ponso no Tao (ミクスドメディア)



 


生まれ育った地区は、田畑をつぶしてできた大阪市の辺縁にあり、よく浸水被害が起きた。水が家の中にも外にもあふれて、モノの区画が不明になる。今もときどき、洪水の夢を見る。私は関東大震災の難民の孫です。

昨年(2016年)の夏、南台湾の南東沖にある原住民の島を訪ねた。
フィリピンのバタン諸島から数百年前に移り住んだという原住民は、トビウオを漁り、タロイモを食し、地下住居に住み、涼台の上で海を眺めた。
彼らの現地語で"Ponso no Tao"(人々の島)と呼ばれるその島には、台湾電力の核廃棄物貯蔵施設があった。
海沿いのキリスト教の野外教会の岩壁には、「愛」の字が赤く刻まれていた。