古書のページを切り取り、それを素材にして六角形の構造物を作りました。
その一部には海中の原生生物の画像が収めてあるのですが、これは同時代に出版された事典から取ったものです。
「文字」や「発せられた言葉」は、「記された形態」「響き」というある種の物質性を持たざるを得ないので、けっして純粋で透明な意味伝達の媒体というわけにはいかないでしょう。「文字」や「発せられた言葉」は、あたかも海中の有機物のように、常に確定的な意味からずれ動きながら、時に新たな生命として予期せぬ形を獲得し、あるいは死滅して再び有機物となって、著者や発話者から逃れ出てどこまでも自由に漂っているように思われます。 |