「もともと生物には中心軸などなかった。細胞の塊が押し合いへし合いしているうちに、左右から真ん中に押し込められた襞として背骨ができ、それがさらに前に押し出されて脳ができた」
「海」というテーマを聞いて、前述の背骨の発生についての考察が思い起こされました。海にも中心などなく、すべてのものが相補的に存在していてそれはちょうどパズルのピースがひとつ欠けた時、まわりのピースから欠けたピースのかたちがわかるように、補い合いながら刹那の均衡を保っているのではないでしょうか。
土という素材から「重量」を可能な限り削ぎ落とし、ごく薄い皮膜のような作品とすることで物体そのものではなく、その内外の空間の相補性を顕在化したいと思っています。 |