ARCHIVE no.58

空気をつかまえる| 浮川 秀信

2021 10/06(水)ー10/16(土)




  

UKIGAWA Hidenobu

浮川 秀信 UKIGAWA Hidenobu



2017年の前回(+1art)では「エアリュム」と題しての個展であった(アクアリウ ムならぬエアリウム)、今回も殆ど変わらず線材を使って曲がりくねった線とその空 気感を考えながら作品を作る。しかし、物理的な空気であれ雰囲気としての空気 であれ、空気感を大切に考えている造形家は沢山おられる。そこで空気を積極的に捕まえることを考えて、空気の動き・風の作り出す情景を捏造したり、極端には空気をザルで捕まえる、そんな突拍子も無いことを考えながらの造形。(浮川秀信)

大阪生まれ、1968年「あの画廊」にて初個展(F・R・Pによるオブジェ)。以後素材にこだわる ことなく造形を試みている。1976年須磨現代彫刻展、アートナウ77等。 大阪から奈良への転 居を機に吉野杉の間伐材を削り組み立てる作品を作り始め、作品と共に周りの空間もテーマ とする。細い木がますます痩せてここ10年くらいはピアノ線を素材に制作している。 近年の個展 2020, 2016年 gallery勇斎(奈良)、2019年 gallery猫亀屋(大阪)、2017年 +1art(大阪)、street gallery(神戸)




禅の公案に「ヒョウタンでナマズをつかまえる」というのがあるそうです。 どうしたらヒョウタンでナマズをつかまえられるか? と いう問題ですが、普通に考えたらヒョウタンの小さい口にナマズを押し込むのは、どう考えても無理。 ナマズも人が近づいたら 逃げていくだろうし。 浮川秀信は、細いピアノ線で空気をつかまえる、と言います。 それも1本あるいは数本のピアノ線だけで。 これも普通に考えた ら、5ミリほどの歪んだ細い線で空気をつかまえるのは到底不可能です。 では、どうやって? これを理解するには、公案を解くのと同じくちょっとした飛躍が必要です。 4年前の+1artでの個展の折に浮川はこう書いてい ます。 「確かなものと不確かなもの、全体の揺らぎ ーアクアリウムならぬエアリウム」。 ここにヒントがありそうです。

+1art カワラギ 



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