ARCHIVE no.63
右や左に見えるもの
ニシジマ・アツシ × 村井 啓哲
2022 02/16(水)ー03/05(土)
村井 啓哲 MURAI Keitetsu
展覧会名はエリック・サティの楽曲名 Choses Vues a Droite et a Gauche(sans Lunettes) の一部転用。意味はなく、主義も信条もなく、単なる思い付きがそれ自体の展開と限界を示し出す。
1962年 東京生まれ。 サウンド・パフォーマー/アーティスト。主に自作を含む電子回路/機器の反制御的操作によるサウンド・パフォーマンスを行う他、視覚的作品も制作する。またフルクサス参加作家のイベント・インストラクション、ジョン・ケージの非五線記譜法による非器楽曲などの解釈/演奏も行う 展覧会/イベント等の企画者としては、1991年から1993年までP3 art and environmentに於いて サウンド・インスタレーションを紹介する年次企画を担当、また2007年から2012年まで、ニシジマ ・アツシと共同でジョン・ケージの生誕100年に向けたコンサートを企画制作し、演奏にも参加した。
ニシジマ・アツシ NISHIJIMA Atsushi
今回の展覧会のタイトル”右や左に見えるもの”は、村井さんと私との対話の中で話題になったErik Satie_Choses Vues a Droite et a Gauche (sans Lunettes)から、村井さんが発想されたのです。 私たちにとって興味深かったことは、作曲された音楽よりも、この曲のタイトルの日本語訳でした。『右や左に見えるもの〜眼鏡無しで』『右と左に見えるもの〜眼鏡無しで』 インターネットで検索すると、この2つの日本語訳が出てきます。「〜や〜」「〜と〜」 どちらが正しい訳かは、私たちには分かりかねますが、「〜や〜」 「〜と〜」 それぞれに違った場所性や空間性を感じます。今回の展示では “右や左に見えるもの”以外の何かが発現すればと考えています。
1965年 京都市生まれ。大阪芸術大学 音楽学科 音楽工学専攻 卒業。
80年代後半より実験音楽の制作、ライブ・エレクトロニック・ミュージックによる演奏を始める。その後、音が持つ様々な側面と日常の事物をユーモラスに同定して発想したヴィジュアル作品の制作も始める。2001年Asian Cultural Councilの助成によりニューヨークに滞在し、Location Oneにて個展、そしてライブ演奏を行っている。2014年には文化庁新進芸術家海外研修制度にてベルリンに滞在し、作品制作・演奏を行うなど、現在も国内外を問わず精力的に活動をしている。
個展
2021「的思 / ニシジマ・アツシ展」CAS(大阪)
2019「ニシジマ・アツシ " Number Pieces"」VOICE GALLERY(京都)
2017「術の方便」SOMA gallery(大阪)
2017 「Humor Identification/ 脱力と直観 」8/ART GALLERY/ 小山登美夫ギャラリー(東京)
2010 Beppu Art Month 2010 - の方便」BEPPU PROJECT/platform05(大分)
2008「Sx(a.i.u.e.o)」PRINZ(京都)
2008「Third Perspective』ギャルリー・パンセ 甲南大学(兵庫)
2003.「A to C」立体ギャラリー射手座(京都)
2001「SUBTRACTIVE CREATION : VISIBLE SOUND」Location One《New York/USA》
1994「Citycircus」- Rolywholyover A Circus-John Cage/The New Museum of contemporary art
@window space《New York/USA》
グループ展
2021「景 風 趣 情」成安造形大学(滋賀)
2020「MIND TRAIL- 奥大和 心のなかの美術館」 天川村(奈良)
2020「FOUR-4 人の 楽家の展覧会2020」 +1art (大阪)
2019「VOICE AND SOUND WAVES:The Japanese scene」Felix Frachon Gallery《Brussels/Belgium》
2019「Structure and Sound-音による構造の知覚-」 Gallery Fleur_ 京都精華大学(京都)
2018「helen at the mountain」Tetsuo’s Garage(栃木)
2017「JAPANESE CONNECTIONS - CONTEMPORARY ART FROM JAPAN」Nikolaj Kunsthal《Copenhagen/Denmark》
2016.「The ECHO」高崎シティギャラリー(群馬)
2013.「景 風 趣 情- 自在の手付き」京都術センター(京都)
2012.「“for missing O KYTO”/ りないO のために“KYTO”」小山登美夫ギャラリー京都(京都)
2011 「Simple Interactions」Museet for Samtidskunst/Museum of Contemporary Art Roskilde《Roskilde/Denmark》
2010「yves b lorgey invite atsushi nishijima」galerie xippas《Paris/France》
2009. 「ある風景の中に」京都術センター(京都)
2007「Remembrance of things passing」CASO(大阪)
2005「Slowscan Soundwave (III) and The Telaesthetic Finger」 Location One《New York/USA》
2002「Sound in the landscpe」 Art Omi International Arts Center《New York/USA》
2002「Signal to noise」 Location 1《New York/USA》
2002 「One Hand Clapping:The Interstices of Sound,Language,and Silence」 Smack Mellon《New York/USA》
パフォーマンス
2019「Sound and Structure Live performance at Soto」 外(京都)
2017「Acoustical Scenery-@Klub R 」Roskilde Festival 2017《Roskilde/Denmark》
2015「Site - Acoustical Scenery」 Kunsthalle/PLU41 《Berlin/Germany》
2015「Site - Acoustical Scenery/For Troedsson Villa」 日光トレッドソン邸(栃木)
2014「Kyoto Protocol : Experiments in Art & Technology III」 N.K. 《Berlin/Germany》
2014「EXPERIMENTELLE MUSIK 2014」 Akademie der Bildenden Künste《München/Germany》
2013「nuitblanche Kyoto 2013」 アンスティチュ・フランセ関西(京都)
2011「The sound performance “site”Atsushi Nishijima」Royal Danish Academy of Fine Arts/BKS Garage《Copenhagen/Denmark》
2007-12 「John Cage 100th Anniversary Countdown Event 2007-2012」(大阪・京都 ・東京・富山)
受賞歴他
2013 文化庁新進芸術家海外研修(Berlin/GERMANY)
2008 LABORATOIRE VILLAGE NOMADE [Silent Shadows_workshop,Meeting and experiencing of East and West](Estavayer-le-Lac/Switzerland )
2004 Civitella Ranieri Foundation [Civitella Ranieri Fellowship-Residence Program 2006] (Umbria/Italy)
2001 Asian cultural council [Japan-United States Arts Program Fellow] 助成授与(New York/USA)
1998 岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー[特別給費生報償] (岐阜)
本展のタイトル「右や左に見えるもの」はエリック・サティの楽曲名から採られましたが、サティとは関係ないと村井啓哲は言います。 『「右や左に見えるもの」という言葉の(エリ ック・サティとはまったく関係ない)勝手なイメージは、およそ「脇見」であり、目的や目標から排除される要素への関心です。』
エリック・サティ1914年の作品「右や左に見えるもの(眼鏡なしで)」 は演奏時間4分 ほどのピアノとバイオリンのための楽曲です。この曲は全3曲からなり、それぞれ 第1曲「偽善的なコラール」 第2曲「暗中模索の フーガ」 第3曲「筋肉質なファンタジー」というタイトルがついています。
サティが何を思ってこの曲にこんなタイトル をつけたのかわかりませんが、分厚い眼鏡をかけていたサティが眼鏡を外して見たのは、左右も真ん中も曖昧な景色だったでしょう。目的や目標が明確な世界はサティにとって は皮肉の対象だったのかもしれません。
ジョン・ケージ生誕100周年イベント「John Cage Countdown Event 2007-2012」などを手がけたニシジマ・アツシ、村井啓哲によるコラボ展。眼鏡は外してご来場ください。
+1art カワラギ