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no.03
2015 10/08(木)ー 10/25(日)


ささやくエントロピー  山崎由美子
Entropy Whisper  YAMAZAKI Yumiko


「波紋」 インスタレーション(氷、石、水、光、音。金属、アクリルの水槽)







関連イベント  10/10(土) PM 4〜


 アーティストトーク 









山崎 由美子
YAMAZAKI Yumiko


水面に投じた一石の波紋の如く感情をざわめかせる。世論に波紋を呼ぶ一石を投ずる。
「波紋が広がる」、「波紋を呼ぶ」。関連してつぎつぎに及んでいく変化や反応。最近では、SNSに見る炎上。
狭義には個人の感情、広義には社会現象。
 
ー画廊空間に、水面に石を投じる装置を設置する。ー
静かな水面に一石を投じる。その一石が波紋をよび水面をざわめかせる。二石目を投じる。一石目の広がった波紋の上にさらに新たな波紋が重なる。さらに、三石目、四石目、、、、。それぞれが重なり反復し複雑な波紋が 広がる。しかし、時間の経過と共に始めの静かな水面にもどっていく。
 
このような自然現象の『波紋』を感情や社会現象の『波紋』として、改めて眺めてみる。

山崎 由美子 


活動歴
1999年、アーティスト イン レジデンス 美濃への招聘をきっかけに伝統的手漉き和紙の技術をまなぶ。以降、 時間の経過をテーマに自然に自生する植物を自ら漉いた紙を閉じ込めると共に、その植物の成長過程を写真、映像、インターネットを使って多角的に表現するシリーズ作品『時間の記憶、場所の記憶 植物プロジェクト』を奈良、士幌(北海道)、広島で発表する。
2006年から2007年にかけて、土を入れた箱をいかだを水の上に設置し、そこに芽生えた植物を漉き込む『水の
上の植物プロジェクト』を咲くやこの花館(大阪)、台北(台湾)で同時進行で行う。また、地面に銅版を2ヶ月
間設置し、そこに映し出された空の変化のドキュメンタリー映像と腐食による銅版裏面を版画で表現した『空の裏
側プロジェクト』堺を(大阪)スムター(アメリカ)で発表。
2006年、『フォースオブネイチャー 自然の力』、ウィンスロップ大学(アメリカ)では、植物のプロジェクトと銅版のプロジェクトを同時進行で行う。
その後、地球の自転を、影の移動を移動を追いかけたドローイングにより巻物に仕立て地球の自転を表した『南中』、流れる水を映像やドローイングで本に仕立て重力を表した『水』。撮影した雲の動きを床に映し出した『空』など、
大阪のギャラリーを中心に発表。
大阪芸術大学美術学科卒業。多摩美術大学大学院修了。53歳 美術家。



プロジェクト
2006 時間の聞く場所の記憶 プロジェクト(ウインスロップ大学、アメリカ合衆国)1
    水の上の植物プロジェクト(渡開自然公園 台湾、 咲くやこの花館 大阪)
    大阪都市空間プロジェクト(大阪)
2005 植物プロジェクト(広島大学病院外来出入り口前広場)
2003 スカイ・プロジェクト(スムター裁判所ヤード アメリカ合衆国、堺市錦西コミュ
    ニティーセンター横空き地)
    大阪都市空間植物プロジェクト(大阪)
2001 美濃・士幌プロジェクト(士幌の大地に自然に芽生えた植物を美濃和紙に漉き込む)
       
プロジェクトに関連する展覧会
2007 水の上の植物プロジェクト(渡開自然公園ビジターセンター 台湾)
2006 フォースオブネイチャー 山崎由美子 展覧会
    ウインスロップ大学ギャラリー(ロックヒル アメリカ合衆国)
2005 医療の現場展 (広島大学病院)
2004 堺市文化館ギャラリー (自主企画)(堺)
2002 美濃・士幌プロジェクト作品展(美濃和紙の里会館 士幌町コミュニケーションセンター)

個展
2013 ギャラリー HOT(大阪)
2011 ギャラリー 白(大阪)
2005~2009 ギャラリー OU(大阪)
2001 ギャラリー モリア (スタリーグラード クロアチア)

グループ展
2010 +PULSプリュス東京コンテンポラリーアートフェア 東京美術倶楽部(東京)
2007 force of nature 自然の力 里帰り展 ギャラリーRaku 京都造形大学(京都)
    ギャラリズム 大阪府立現代美術センター(大阪)








エントロピーとは「秩序から無秩序へ向かう過程の量的表現」といわれます。
熱い湯は時間が経つと冷めていきます。
齢千年の大木もいつか枯れて土に還ります。
「諸行無常の熱力学的表現」と言ってもいい(?)かもしれません。
人間を含めこの世界は全てエントロピーの法則の中にあるわけです。
普段そんなことを意識して生きているわけではありませんが、エントロピーという視点からこの日常を見渡すと実は様々なサインがあります。例えば、ドアの開閉の音。わずかずつ建具が摩耗しエントロピーが増大しています。靴の音、衣擦れの音、野菜を切る包丁の音、水音、等々。
山崎由美子氏の作品「波紋」は氷が溶けて落下するという日常的なエントロピー現象を、その下に置いた水槽で受け止めるという簡単な装置で非日常的な空間をつくりエントロピーを聴くように誘います。
聞こえますか? エントロピーのささやきが。

+1art カワラギ